多読は才能ではない。年間30冊から350冊へ増やした私の読書法

「もっとたくさん本を読みたいのに、なかなか進まない」――そう感じたことはありませんか。私もかつてはそうでした。年間30冊読めれば多い方で、積読本を前にため息をつく日々を送っていたのです。ところが今では、年間350冊以上を読むことが当たり前になりました。特別な速読法を学んだわけでもなければ、天性の才能があるわけでもありません。やったことは、ただ2つの小さな工夫を続けただけです。実際に私が試した方法を知れば、あなたの読書体験もきっと変わるでしょう。

selective focus photography of woman holding book
Photo by Leah Kelley on Pexels.com

読書速度を上げるための工夫はシンプル

多読を実現するために、特別なテクニックや膨大な努力が必要だと思っていませんか。実はそんなことはありません。私が年間350冊以上を読めるようになったのは、たった2つの工夫を意識したからです。「頭の中で音読しないこと」と「1回で100%吸収しようとしないこと」。一見すると小さな意識の変化ですが、この2つが読書のテンポを大きく変えてくれました。

頭の中で音読しない読み方

以前の私は、本を読むときに頭の中で文章を声にして追いかけていました。いわゆる黙読のつもりでも、実際には「頭の中で音読」していたのです。この癖があるとどうしても読むスピードが遅くなります。そこで意識的に音読をやめるようにしました。すると、文章を意味のまとまりとして捉えられるようになり、テンポよく読み進められるようになったのです。とはいえ、小説など物語を味わいたい本はあえて音読します。速さよりも臨場感を楽しみたい場合は、音読を活かす読み方もあるわけです。

100%吸収を目指さない読み方

もう一つのポイントは、「一度で完璧に理解しようとしない」ことです。以前の私は、内容をすべて理解して覚えようとするあまり、何度もページを戻っては立ち止まり、時間ばかりが過ぎていました。その結果、一冊を読み終えるのに何日もかかっていたのです。今では、1回の読書では6割から7割理解できれば十分と考えるようにしています。残りは後から読み返すか、別の本で補えばよい。そう割り切ることで、読み進めるリズムが生まれ、冊数が自然と増えていきました。

読書法を変えると理解の質も変わる

読書速度を上げる工夫は、単に「量をこなすためのテクニック」ではありません。方法を変えたことで、むしろ理解の質そのものも変わっていきました。

私の場合、講師という仕事柄、本の一節や事例を講義の中で紹介することが多くあります。そのため、読むときから「どの部分をアウトプットできるか」を意識するようになりました。結果として、ただ流し読むよりも内容が頭に残りやすくなったのです。

さらに、アウトプットを前提に読むことで、自分の言葉でまとめたり、別の知識とつなげたりする習慣も身につきました。単なるインプットにとどまらず、自分の活動に役立つ知識として定着していく感覚があります。つまり、読書のスタイルを変えることは、理解を深める学び方そのものを変えることにつながるわけです。

読者への提案

多読は一部の人だけができる特別な能力ではありません。ちょっとした意識の切り替えと習慣化によって、誰にでも実現できるものです。私が紹介した「頭の中で音読しない」「完璧を求めない」という2つの工夫は、その入り口にすぎません。

まずは今日から、1冊の本を読むときに「頭の中で声にしていないか」を確認してみてください。そして「一度で全てを覚えよう」とする気持ちを少し緩めてみる。たったこれだけで、読書のスピードとリズムは変わっていくでしょう。

あなたも「読書量を増やしたい」と感じているなら、難しいことを考える前にこの2つを試してみてください。小さな習慣の変化が、やがて大きな成果につながるはずです。

まとめ

私が年間350冊以上を読めるようになったのは、特別な速読法を身につけたからではありません。大切なのは「頭の中で音読しないこと」と「一度で100%を目指さないこと」、この2つを意識したシンプルな工夫です。そして、その習慣を日々続けてきたことです。

読書量を増やすというと、どうしても「時間がないから無理」と思いがちでしょう。しかし、読むスタイルを変えるだけで、驚くほど読書は進むものです。実際、私も30冊から350冊へと読書量を伸ばせました。つまり、必要なのは才能ではなく、工夫と習慣を積み重ねる姿勢なのです。

あなたがもし「もっと多くの本を読みたい」と願うなら、今日から2つの工夫を取り入れてみてください。ほんの小さな一歩が、明日の読書体験を大きく変えていくでしょう。